近所の本屋の話
近所に小さな本屋がある。
仕事帰りに立ち寄りやすく、いつも空いてて居心地のいいお店だった。
通っていくうちに品揃えはどうしても物足りなさがあり、在庫がないことが続いたり、新しい出会いを求めて行った時の変わり映えのなさに残念な気持ちも強くなっていった。
あれもない、これもない、文具も置いたらいいのに、などなど。
ある日、今月いっぱいで閉店するとの張り紙が貼られた。そうか、なくなっちゃうのか。ここがない生活を思い浮かべたら、大きな喪失感に襲われた。
人は、慣れてしまうとわがままになる。本当は好きなのに、訪れるのが楽しみなのに、勝手に期待して期待通りでないと失望する。
そんな身勝手だった自分を恥じながら、それに気づかせてくれたことに感謝をしつつ、あと数日間立ち寄らせてもらおうと思う。